村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

多崎つくるは自分を空っぽの存在だ、というけど、仮にそうだとしても、そのこと自体が理由となって(「色彩を持たない」からこそ)、5人グループの調和を図ってきたのであるな。 10代後半という、一般的には人生のかなり早い時期に絶望して、はたから(少なくと…

瀬尾まいこ『強運の持ち主』

なんかこう、すごいテキトーな感じで占いをしてるルイーズ(主人公)なんだけど、そうかと思えば、この本で起こる4つの大きな出来事に直面して、振り回され、相談者の悩みをまじめに考えて、乗り越えていく その過程がよかったな。 占い、誰かに話をきいてもら…

宮本輝 吉本ばなな『人生の道しるべ』

宮本輝さんは『錦繍』、吉本ばななさんは『デッドエンドの思い出』が大好きで、そのお二人の対談集があると知って手に取ったら、もう、大当たり。 お二人の人生についての言葉の深みに、ただただ感動した。 こういう、あたたかい気持ちで小説を書いている、…

窪美澄『私は女になりたい』

人の縁とは事故のようなものだ。 恋ってすごいエネルギーだなと、改めて思い知らされる一冊。 恋をするのには余裕がいることを口実に別れを切り出す奈美だけど、一方で、この恋を手放すにはあまりにつらく、のちのち苦しむことも分かっている。でも、別れる…